2010年1月20日水曜日

ドロミテを旅する

2009年にユネスコの世界遺産に登録されたドロミテはイタリア北部、トレンティーノ・アルトアディジェ州、ヴェネト州そしてフリウリ・ヴェネチア・ジュリア州、3つの州にまたがる141,903ヘクタールの領域で3000mを超える山が18あるそうです。そして最高に美しい山の景観を持つ地域とされています。ヨーロッパアルプスには4000mを超す山並みに氷河がある素晴らしい所がありますが、ドロミテは標高こそ最高峰マルモラーダで3342mと低いもののその景観は他にないといえます。スイスもフランスもオーストリアのアルプスも素晴らしいのですが、何故かドロミテにひかれてしまいます。時間があればドロミテに足が向いてしまうのです。日本の山に行ったことのない私がこんなにハイキングをするようになり、滞在の旅を企画することになったのはドロミテのお陰なのです。

さてドロミテを旅するには・・・。是非とも滞在型の旅をお勧めします。できたら一週間、少なくとも5日間は一か所に滞在して頂きたいです。アルプスの旅は天気に左右されますから、予備日をもつ余裕が欲しいですね。滞在旅をお勧めする訳はこちらをご覧ください。ブレンナー峠を越えると太陽の国イタリア、峠を越えると太陽が燦々と輝いていたというようなことを書いている方もいますが、確かにドロミテはアルプスの北側より天気の日が多いような気がします。ドロミテはまさにオーストリアからブレンナー峠を越えた南なのです。

滞在地のお勧めはいくつかありますが、ドロミテで一番有名なリゾートといえばオリンピックも開かれたコルチナ・ダンペッツォです。クリスタロ山、トファーネ山などに囲まれたまさにドロミテの中心地といえます。お洒落な高級ブティックも軒を連ねます。以前ここに滞在する旅の企画をしたいなと思い小さなホテルの部屋をいくつも見せてもらったことがありますが、私の感覚では値段と折り合わず断念しました。多分コルチナ・ダンペッツォのホテル代は他と比べ少々高くなることを覚悟する必要があります。

値段が良心的でホスピタリティーを感じさせる地域が南チロルです。企画している旅もこの南チロルのホテルに滞在するものです。南チロル(ドイツ語でスードチロル)とはイタリアのトレンティーノ・アルトアディジェ州の北半分アルトアディジェのことです。南チロルは第一次世界大戦前までオーストリア帝国領でしたが、大戦後イタリア領になった所です。チロルという言葉もメラーノ(現在はイタリアの南チロルにある温泉保養地)近くにあったチローロ城という城の名前が語源だそうです。現在はオーストリアにチロル州があり(インスブルックが州都)、イタリアに南チロルがあり、チロル州の飛び地、東チロル(大戦後に南チロルがイタリア領になったので、南チロルの東の部分がチロルの飛び地となってしまった)と3つのチロルがあります。南チロルだけがイタリア領となった訳ですが、住んでいた人はドイツ語を母国語とする人々だったのです。戦後南チロルをイタリア語化するような政策がとられ、イタリア語を強制したり、南からイタリア語を話すイタリア人を移住させたそうです。イタリア領内の南チロルでドイツ語を母国語とする方々がドイツ語を使う権利を得たのはごく最近のことだそうです。アルトアディジェの中心都市ボルツァーノ(ドイツ語名ボーツェン)等に行くと南チロルではありますが、イタリア語が大分聞こえてきます。それに比べ南チロルでもセストの谷等ではほぼドイツ語、まるでオーストリアのチロルにいるのと変わらない程です。

オーストリアでは他のアルプスの国より、良心的な値段で宿泊できるように感じます。南チロルはイタリア領ですが、ホテルのシステムや料金がオーストリアのチロルに近く、農家の民宿からホテルまでどこに行っても清潔で居心地が良いです。一番のお勧めはセストの谷です。セストの時計山というドロミテの山々が見える牧歌的な所で、セストとモースという二つの集落があります。どちらにもスーパーマーケットやスポーツショップ、レストランもそろっていますが、コルチナ・ダンペッツォのような都会的なリゾートではありません。どちらかといえばショッピングより山や自然が好きな方に是非滞在して頂きたいアルプスの小さな村です。セストの谷はドロミテの中でも一番北東に位置していて、オーストリアの国境に近い所です。

セストの谷への入り口、サン・カンディド(ドイツ語名イニヒェン)とドビアッコ(ドイツ語名トブラッハ)も滞在適地といえます。お気に入りはセストの谷ですが、交通の便が良いのはサン・カンディドやドビアッコです。トレチーメやブライエス湖等へのバスはサン・カンディドから出発となるからです。セストに滞在すると一旦、7Km程離れたサン・カンディドまでバスで出て乗り換えが必要です。レンタカーやタクシーを使って移動するならまったく問題はありませんが、公共の交通機関で移動となるとサン・カンディドが便利です。サン・カンディドにはドロミテの山であるハウノルド山がそびえています。ドビアッコはミズリーナ湖やコルチナ・ダンッペッツォへの北の入り口に位置する所です。ミズリーナ湖へも20Km程です。位置関係はホッホ・プスタータール(この地域全体をさすドイツ語名)のオフィフィシャルサイトhttp://www.hochpustertal.info/index.php?id=1557&L=1のHow to find usをご覧ください。このサイトから直接この地域の宿泊施設の予約をすることができます。南チロルやオーストリアのアルプスリゾートの多くがこのようなオフィシャルサイトを持っていて、ホテルから農家民宿まで様々なタイプの宿泊施設が紹介されています。アルプスの宿泊施設に関しては今後色々紹介していきたいと思います。

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